九十九座



「食」を通じて「日本らしさ」を嗜んでもらいたい。

江戸情緒あふれる下町の、とある材木商の跡取りとして産まれ、材木屋の若い衆のほか、大工や鳶などモノづくりに係る様々な人々、職人たちに囲まれ、毎日彼らの手仕事を見て育ってきました。また、羽振りも良かったせいか、幼いころから近所はもちろん全国津々浦々にある老舗・名店の暖簾をくぐる機会に多く恵まれ、今もなお足繁く通わせていただいております。

そんな日常の中、大学卒業とともに渡米する機会を得て、しばらくは異国文化に浸った日々を過ごしていました。

それまでの「当たり前」が当たり前ではない環境で生活をしていると、面白いもので日本の良さや疑問点がやけに見えて来るようになり、それと同時に日本人としてのアイデンティティを意識し始め、「日本」と言う祖国を改めて見つめ直すようになりました。

遠い昔、まだ海外へは船でしか行けなかった時代、諸外国へ降り立った日本人はその存在だけで「日本」と言う国を伝えることができていたのではないか?

四季折々を感じる日本の風土から生まれた日本人の気質や、その威風堂々とした立居振舞いは異国の人々を感心させていたのではないか?

このような思いを持ちながら帰国し、そして驚かされたのは、伝統工芸をはじめとする日本古来の「技」を必要とする産業は衰退し、その継承は年々難しい状況に陥っていることでした。さらに、コミュニケーションツールの普及や交通機関の発達などによりグローバル化は加速し、それに伴い要求される競争力の強化はオートメーション化を推し進め、日本人の手作業そのものを不要とする風潮は疑問視すらされなくなりました。その一方で、グローバル化が進めば進むほど文化的価値が重要視されるという事実もあります。これは各々の国がその歴史の中で築き上げたそれぞれの文化そのものがその国々のアイデンティティだからだと考えます。

そこで私は日本の文化的価値を高めるために「日本らしさ」にこだわり、私の最も得手とする「食」を通じて「日本らしさ」を世界中に伝えて行こうと考えました。日本は古(いにしえ)より豊富で清らかな水の恩恵を受けている国です。食品や食器などをその豊富な水で洗うことができ、さらに建物など環境をきれいに保つこともでき、その結果、清潔を尊ぶ気風ができ上がりました。これは日本の食が安全で安心なことの大きな要因であり、「日本らしさ」のひとつになります。また、緑に覆われ、四方を海に囲まれた島国だからこそ培われた日本独自の様々な技法にも「日本らしさ」を見ることができます。

九十九座では、「食」を通じて「日本らしさ」を嗜んでもらうために、地球上の優れた食材を「技」を備えた職人が五感を磨き上げ、第六感を研ぎ澄ませて仕上げた「食財」として世界中へ発信する活動をしていく所存です。


想い

「食財のアトリウム」

アトリウムとは、古代ローマの住宅で玄関奥に配置された中庭風の広間。上部の屋根が開いており、建物の中に光や新鮮な空気を取り入れるとともに、雨を溜めるために用いられた。商談、接客、社交場に利用されていました。

九十九座は「人を豊かにする食財が集うアトリウム」

それは様々なひと・もの・ことの入口に位置する場所。食における文化・材料・技術などの点を線で結び付加価値の向上を追い求め続けてまいります。

使命

「食財を創造する」

九十九座の使命。

それは、世界最古の国である日本で培われた誇れる「技術」と世界中の優れた「食材」により「食財」を創造すること。古き良き日本で育まれた伝統、健やかなる食を重んじ、日本の食文化を広く応援して参ります。



概念

「日本という概念」

日本の「食」「技」「芸」「材」にかかわる全ての「ひと」「もの」「こと」をつなげ、伝える「座」=「アトリウム」が九十九座です。

また九十九座では「本来の価値」を確実なものにするために九十九座独自の条件をクリアした品質を基準にしてます。

仕事

「本来の日本を伝える」

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